織姫と彦星夫婦が年に一度だけ会える七夕の日。 そんな七夕の日に雨が降ったら、「せっかくの逢瀬なのに会えないんじゃないの?」と心配な人もいるでしょう。実は、七夕の日は雨が降りやすい日。 日本では半分以上の確率で雨が降ってしまうという統計もあります。この七夕の雨には「催涙雨(さいるいう)」という名前がついているのですが、催涙雨が降る理由について実はさまざまな説があるので、見ていきましょう。
実は雨でも会えていた! うれしい雨
「催涙雨」が降る理由として、「織姫が彦星に会えてうれしくて泣いてしまい、それが雨となる」という説があります。愛し合っている夫婦が、1年ぶりにようやく会えるのですから、つい感極まって泣いてしまう女心も納得でしょうか。また、ほんの1日会えただけですぐにまた1年離れ離れにならなくてはいけないので、別れが悲しくて泣いているという説もあります。
そのほか、「彦星が織姫に会うために船で天の川を渡り、その船をこぐ櫂からこぼれる天の川の水滴が雨となる」という説も。
さらに、彦星が降らせる雨にはもうひとつあります。七夕の前日に降る雨を「洗車雨」といい、こちらは船ではなく牛に引かせた牛車で織姫に会いに行くので、前日にその車を洗うために降る雨です。愛しい人に会うために一生懸命自分の車を洗う。なんだか気持ちの分かる男性もいるのでは?
会えなかった……悲しい雨
「催涙雨」は、雨のため天の川の水かさが増えて渡れなくなってしまい、彦星に会えなくて悲しみのあまり泣く織姫の涙だといういわれもあります。こちらの説のほうが、日本では有名かもしれません。
中国では、七夕の日にはカササギたちが天の川に橋をかけてくれ、その橋を渡って二人が会うのですが、天の川の水かさが多いと橋がかけられないのだそう。年にたった一度の機会がなくなってしまっては、涙がこぼれてしまうのも無理はないですね。
しかし、このカササギたちは、雨の日こそ活躍するというお話もあるのです。雨が降り、彦星と会えなくて悲しむ織姫のところに、天帝に頼まれたカササギたちが集まり、橋をかけてくれたため雨でも無事会えました。というお話です。
なぜ、さまざまな説があるの?
七夕の由来は大昔の中国の言い伝えですが、そのお話が日本に伝わってくる間に、また伝わったあとも少しずつお話が改変されているため、さまざまな説があります。本がたいへん貴重だった時代には、物語は口伝えで語られました。そこには覚えまちがいもあるでしょうし、また、古い七夕のお話を元にオリジナリティーを加えて話したということもあるかもしれません。
「催涙雨」は、うれし涙か、悲しい涙か。どちらの説もまちがいではありません。あなたは、どちらのいわれを選びますか?